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バックパッカーの旅Ⅰ(東京~アテネ)

バックパッカーの旅Ⅰ(東京~アテネ)

ドミトリーの仲間たち

                      ≪十月十八日≫   ―菜奈―


   二時間ほど皆とはしゃいだ後、午後十時皆と別れて自分の宿に戻るこ

 とにした。
 十時ともなると、さすがに人通りも少なく、寒々とした冬の街はシーンと

 静まり返っていた。
 部屋に入ると、同室者は全員部屋に戻っていた。

       俺「ヤーッ!」

   ドアを開けて、同室者に挨拶すると、皆振り返って言葉を返してき  た。
 なにやら同室者の一人が、皆を相手に喋り捲っている途中だったようだ。
 中に若い女性が二人混じっている。
 カナダ人のようだ。
 そうここは、ドミトリー。

   イタリア人「YOUはどこから来たんだい?」
       俺「君は?」
   イタリア人「イタリアから来た。」
       俺「俺は、日本から来ました、よろしく。」
      ○○「万国が一同に会した感じだな!」

   そういうと、皆が自己紹介をし始めた。
 アメリカ人にイギリス人、ドイツ人にイタリア人、そしてカナダから二人

 の女の子と日本人の俺、六カ国七人のドミトリー。

   イタリア人は実に陽気で、一人で英語の単語だけで喋り捲っている。
 アメリカ、イギリス、カナダは英語が母国語。
 ドイツ人も英語が達者なようだ。
 イタリア人と俺は単語を少し知っているぐらい。
 それでも、イタリア人は天性の陽気さからか、身振り手振りで喋り捲るの

 である。

   自分のバッグから何かを取り出した。
 どうもハッシッシのようだ。
 中近東で手に入れてきたようで、自慢げに話し始めた。
 ・・・・・
 しばらく吸って、皆に回し始めた。
 俺のところにも回ってきた。

   イタリア人「吸ってみろ!気持ち良いから。」
       俺「サンキュウ。」

   一服吸ってみる。

       俺「俺も日本からアジア大陸を縦断してここまで来た。ハッ

 シッシは何回か吸ったことがあるよ。」
   イタリア人「ホーッ!それはすごい。」

   それからは、インド・中近東の話が弾み、万国入り混じって時が過ぎ

 ていった。


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